27歳で買い取ったマンション1棟をホテルに改築。
源泉100%かけ流しの稀に見る温泉リゾートに
株式会社オハヨーサン代表取締役:金森英樹さん
白内障のオペで、運転への自信を取り戻し、もう二度とハンドルを
握ることはないと諦めていたポルシェを、再び手に入れる
金森さんが、またとない強運であることは間違いないが、龍神様にも可愛がられ温泉を授けられるほど、誰よりも多くの荘川高原の魅力を探し出し、伝え、慈しんできた人物であることも疑いの余地がない。
そんな金森さんだが、最近、お仕事のみならずプライベートでもかなり良いことがあったらしい。従来、スポーツカーが好きで、ドライブが趣味だったが、近年、目が見えにくくなり、運転への自信も意欲も低下していたそう。そこで、2021年3月と8月に、『名古屋アイクリニック』で多焦点眼内レンズ『パンオプティクス』を用いた白内障手術を受けたところ、術前は0.6だった視力が、両眼とも1.5までに回復。運転への自信をいっきに取り戻し、思わず注文したのが、ポルシェ911だというから、スケールが違う。
金森さん「私、幼稚園までは名古屋なんですが、小学校から大学までは東京なんです。ところが、大学時代がちょうど学生闘争の時代で、まったく授業がなっかたもので、外車のセールスマンをしていたんです。その頃からの憧れであったポルシェ911を、実は23年前に一度、手に入れたことがあるんですよ。964と呼ばれる、今でも非常に人気のある型式の車です。それをふと魔が差して、売ろうと思い立って店に預けてしまったんです。すると息子や友人に、“売らなくていいじゃないか!”と止められましてね、急いで取り消しの電話を入れたんですよ。そうしましたらね、“すいません‼ い、今、売れてしまいました!”って、現金をもって飛んできたんですよ、お店の方が。片道30分かかるところから、わずか15分で(笑)。ものすごく後悔していますよ。今はもう貴重で、僕の手に入るような車じゃないんで、964型は。とても綺麗なブルーで、幌のあるカブリオレでした。しかも、とくに人気の5速マニュアルでしたので……。後悔先に立たず、です」
―― ふとした気の迷いで大・大・大人気車種のポルシェ911を売ってしまわれたのですね。それは悔やまれますね。
その後はどんな車に乗られていたんですか?
金森さん「ポルシェを手放した後は、ジャガーに乗っていました。いい車なんですよ、ジャガーも。でもね、私はここ10年くらい運転が楽しくなくなっていましてね。もちろん、目が見えにくくなっていたこともあったんですが、運転していて面白くないんですよ。エンジン音が静か過ぎると眠くなってしまうので、危なくて。かといって、年齢を重ねていくうちに、目がかすんできて、もうポルシェに乗るのは難しいなと、すっかり諦めていたんです。
ポルシェは、よく運転が難しい、精緻な車だと言われますが、要はドライバーの意図した通りに動いてくれるんです。わかりやすく言うと、ハンドルの遊びが少ないので、山道のコーナーを曲がるとき、私が思い描いた軌道を綺麗にトレースしてくれる、これが快感なんですね。まったく気は抜けませんが、その分、運転していて楽しいんですよ」
なるほど、そのあたりが、ポルシェがスポーツカーの中のスポーツカー、リアル・スポーツカーといわれるゆえんなのだろう。
―― 71歳で白内障手術をお受けになった金森さん。2021年3月末に右目を、半年後の8月末に左目をオペされたそうですね。
金森さん「まず右目だけを手術しましたらね、右目で見る雪が純白に輝いていたんですよ。ところが同じ雪を見ているはずなのに、左目ではセピアがかってみるんです。中村先生に、右目で映る世界が若い頃に見ていた世界ですよと言われ、夏には左目も同じ多焦点眼内レンズを入れていただきました。荘川高原の樹々の葉の一枚一枚がキラキラと輝いて見えました。これは、またポルシェに乗れる! と思いましたね。それで買ったんです、もう一度、ポルシェの911を。実は、明日、はじめて、その実物を見るんです」
今度の新車は、911シリーズの中で、もっともスタイリッシュとされる“Targa4S”だそう。8速デュアルクラッチトランスミッション(PDK)と全輪駆動のポルシェトランスマネジメントシステム(PTM)を装備した最新式である。
―― 待ちに待った新車、ポルシェ911Targa4Sでのドライブシーンの写真、ぜひ見せてくださいね。その際にわかることですが、気になるのでうかがいますと、車体の色は?
金森さん「色はね、迷うことなくGTシルバーメタリックにしました。私たちの世代にとって、ドイツ車はシルバーでなくてはならないんですよ。今は関係ありませんけどね、昔はF1のような国際的なレースイベントでは、所属チームの国籍別のいわゆるナショナルカラーというものが慣習的に決まっていましてね、イタリアならイタリアンレッド、イギリスならブリティッシュ・グリーン、フランスならフレンチブルーというように。ですから、ポルシェとなれば、ジャーマンシルバー以外ありえないんですよ。年寄オンリーのこだわりですが(笑)」
―― 新たな相棒(ポルシェ911Targa4S)とのドライブは、どのようなところに出かけようとお思いですか?
金森さん「会社は、そろそろ息子に託そうと思っているのですが、ドライブは趣味と実益を兼ねて日本の良いホテルを巡ってみたいなと思っています。慢心しないよう、自らを戒める意味でも、謙虚な目で勉強し続けたいと考えています。
よく地産地消といいますが、リゾート・ホテルを謳って、最高のおもてなしをする以上、地産の“地”は国産でよいと思っています(笑)。日本って、カリフォルニア州より小さいくらいですからね。これだけ流通が発達した国も珍しいでしょう? 『龍リゾート&スパ』は山奥にありますが、飛騨牛はもちろん、国内で捕れた新鮮でおいしい魚介類を市場から直接買い付け、五感で味わう会席として提供しています。さらに学んで、おもてなしに活かしていきたいと思っています。コロナが収束しましたら、さらに世界の美味しいものを探究していきたいですね。
『名古屋アイクリニック』のおかげで、視力だけでなく、楽しい人生を取り戻すことができたと感じていて、本当に感謝していますよ。」
取材から半月後、金森さんからはポルシェ911Targa4Sとのツーショットが届いた。相棒との初めてのドライブ先に金森さんが選んだのは、伊勢志摩の旅。リアス式海岸を有する日本有数の国立公園である。思い描いた通りのカーブを描きながらのコーナーリングを堪能するには、またとないドライブスポットだ。金森さんの信頼に見事に応えたポルシェ911との距離は、いっきに縮まったに違いない。GTシルバーメタリックの車体以上に、金森さん自身が輝いて見える、素敵な写真を前に確信した。目の白内障手術で輝き出すのは、視界だけではないのだ。